【レポート】平和構築 アフガンと東ティモールについて

アフガンと東ティモールの平和構築

  • アフガンと東ティモールの現状

アフガンでは、タリバンと政府との戦いが続いている。そのため移動できる範囲も限られているということで、日本とは想像を絶する状況である。タリバンと政府との軋轢は、想像以上に深く、政府が作った学校などは、タリバンからの脅迫や攻撃の対象になるうるため閉鎖に追い込まれたという事例から、もはや国として正常に機能していない側面がある。学校が閉鎖に追い込まれるという事は、この国の未来に大きな影を落としている。国連高等難民弁務官事務所で大使を務めているギタリストのMIYAVIさんが、かつて著書の中で興味深い事を述べていた。それは、国の平和のために最も必要なことは教育であるという事だ。教育を行うことで識字率が上がることはもちろんのこと、最低限のマナーの習得や、人間関係の構築にも学校大きな役割を担っている。またこれも大事なことではあるが、学校で教育受けることで、将来の国の未来を担う人材を輩出することも出来る。そしてこの人材の輩出が結果的に国が発展する原動力になる。つまり、学校での教育が十分ではないと、国が治安を取り戻し、発展することは望めない。この事実に照らして考えてみると、現在多くの地域で学校が閉鎖されている現状では、短期的な治安の改善はもちろん、長期的な治安の安定や人材の輩出による発展も望めないだろう。そのような状況の中で、政府に対する不信感も相まって学校の再開ができていないのは、政府の政策の失敗である。ただこの状況で、現地の国連職員が国のために命をかけて仕事に取り組んでいるということもまた事実であり、このような人たちに諸外国がどう支援を行うのかが大事だ。また東ティモールの状況については、アフガンほどではないが独立してからの政府と反政府勢力との抗争や民間人の暴動などで国が荒れてしまったが、現在は少しづつ平穏を取り戻しつつある。これは、アフガンほど民族同士、宗教間の対立が少ないということが理由だ。また近隣国のインドネシア、マレーシア、シンガポール、オーストラリアなどの国が積極的に支援を行なっていくことがカギになるであろう。

  • 国連の主な役割について

冷戦時代においては、国連のできることはかなり限定的であった。しかし、冷戦終結後は、国連が「和平調停活動」「平和維持活動」「平和構築活動」など多岐にわたる活動を行うようになった。また、平和執行活動においては、外国の軍隊に任せるケースが多いというのが現実であろう。例えば、ソマリアのケースなどでは、映画「ブラックホークダウン」にあるように、アメリカ軍の身勝手な行動による軍事行動の失敗で、国連軍が援助に向かったという事例がある。つまり平和執行だけが、唯一の方法ではなく和平調停という選択肢も駆使していくことが求められる。また、国連の度重なる判断ミスによる大量虐殺による国連への批判により、一時は国連のPKO活動は規模を縮小したが、それでも、近年は増加しており、様々な国での治安維持任務を請け負っているという実績は国連の存在感の多さを示している。またこういった国連の活動は、未だ不安定部分はありながらも徐々に国際的に認知され、成功事例も増えてきている。国連の平和維持活動は決して無意味ではなく、少なからず紛争国に平穏を呼ぶ一助になっている。またアメリカのイラク介入については、映画「グリーン・ゾーン」でもあったように親米派の人間だけを集めたイラク新政府を作ったことで、反米派と親米派で国が完全に二分されてしまったというのが大まかな流れあるが、これに加えて参考文献の中でも述べている通り、レジティマシー(正当性)という概念がアメリカの介入によりイラクには欠けてしまった。つまり、人々は現在のイラク政府に対して信頼をしていないどころか、正当な政府だと認めていないという側面がある。なのでアメリカ主導でのイラク復興は失敗に終わり、国連の助けなしでは選挙が行えないという事態に陥ったのだと感じた。

  • アフガンの歴史と現状

まず、アフガンの歴史を知る中で、大国の思惑に翻弄され続けてきたということがわかった。イギリス、ロシア、アメリカといった大国が、自国の利益や地位のためにアフガンに侵攻するといったことが、長らく続いてきた訳ではあるが、彼らにとってはこのような大国をアメリカを除いて追い出したことは、大きなアイデンティティになっている。また、タリバン政権樹立後の同時多発テロにおいて、アメリカの「不朽の自由作戦」が開始されたことと、ISAFとの活動の両立により国民にとってはどちらが国民を支援してくれる対象なのか分からないといったことや、アメリカ軍と国連の協力関係の希薄さ、また国連が、アメリカ軍をコントロールできる範囲が限られているということが、さらに国の情勢を悪化させたのではないだろうか。また、新政府に対しての腐敗も深刻であり、地方では、治安や経済状況の格差が急速に広まりタリバン時代の方が良かったとさえ答える人がいる。こういった地域間での格差などはさらに新政府の「正統性」を弱める一因でなるであろう。

  • アフガンへの援助と課題

アフガンの新政権樹立後に、国内の治安維持と政府の正統性を示すためDAIGというプログラムのもと武装解除が行われた。これは、反政府武装勢力を対象にしており正式な軍隊や警察以外は、全てこのカテゴリーに入れられることになった。これにより、旧兵士の社会復帰支援も行うことになり、日本が中心となってプロジェクトを進めることになった。そのため、100億円規模の支援をし、約五万六千人がこのプログラムを受ける意思を示したということは、それだけこのプロジェクトの妥当性が保証されているということだ。また武装解除をした場合には、最大で1500万円ほどの支援を行うこととして、治安の改善や経済支援といった両面から働きかけることで、新政府に対する信頼感を獲得しようとした。また、このDAIGが一定の成果を挙げている要因が、国連に対する好意的な印象が強いということがある。これは、国連のスタッフが、長い時間をかけて現地の人たちと築き上げてきた賜物であろう。また、武器を放棄することで、政治家への転身ができると言ったことや、地域の経済発展も可能であるので、地域住民の暮らしもさらに良くなるのではないかと彼らが考えたのは当然のことある。ただ、一部の地域では、タリバンによる治安の悪化で、武器を放棄できなくなったことや、DAIGに対する不信感から武器の放棄をしないと言ったケースもあるので、地域差があるのが現状だ。さらに、経済状況と治安の悪化により国連のプロジェクトに賛同するより、一部の武器を転売した方が、より良い収入を得ることができると考える軍閥もいるという状況に、アフガンが紛争地であることを再認識させられる。また、一度武器を放棄してもらっても、その見返りとして経済援助が遅延し、彼らの信頼を一方的に削いでいるという事実からも目を背けることができない。地方の軍閥が、1500万円でできる経済支援を選択しても予算がオーバーしてしまったり、スタッフの不足などで行うまでに、一年半以上も遅延してしまうという事態が発生し、未だに支援を行えていない県がほとんどである。途上国で教育制度も乏しいアフガンで、大部分を現地の人に任せることは段階として間違っていたのではないか。また予算が、1500万円というのもアフガンでの物価と考慮したとしてもあまりにも安すぎる。これでは、今まで築き上げた国連の信頼を失墜してしまう結果になりかねない。早急に国連と現地のスタッフが緊密に連携をしアフガンの経済支援を行うことが必要不可欠である。

まず、政府も国民もタリバンとの和解を求めているということである。タリバンとは言えど、元々はアフガンを構成する国民の一部であり、現在でも勢力を保っていることから、殲滅することは不可能に近いということもあり、和解を勧めているのではないか。タリバンにおいては、多くが経済的な理由で加入をする兵士が多いという事情がある通り、イデオロギー的な理由で、タリバンに参加している兵士は、そこまで多くない。このことから、政府がより好条件の仕事や経済支援を行えば和解は十分に可能であり、タリバンの兵力も削ぐことが可能になるのではないか。ただ、ここでもアメリカ軍との軋轢が和解を妨げているという現実もある。アメリカ軍はこの和解プログラムの情報を共有されておらず、和解した兵士も誤って逮捕してしまうことがある。これが、信頼度を著しく下げている。また、タリバンとから抜けることに成功したとしても、そのあとの収入源や身の安全を政府が確保できるのかという課題が未だに残っている。しかし、近年になりアメリカの方針がイラク戦争を機に変わってきていることも事実である。タリバン全てを、軍事的に追い込むのではく、中核以外の兵士に関しては、経済支援などを含めた和解を進める方針を進めている。ここに、国連と多国籍の協力があれば、今までの停滞が改善する可能性が十分にある。また、経済支援に関して、CDCを日本も含めた様々な国で行なっていくべきである。アフガン国内の人たちに対しての職を、提供するだけではなく、地域密着のビジネスも少しづつ行なっていくことで長期的で継続的な収入を得る手助けができるはずだ。

  • 東ティモール

東ティモールという国は、アフガンよりも比較的安定しており国内の対立などはあれど、政党は民主的な方法で政権を争うという姿勢に転じ、近代民主主義国家として06年危機から再び復興しようとしている。また国連の支援も、アフガンの時に比べて、できるだけ現地の人に主権を戻すように取り組んだことが、早期に立ち直れた要因だ。しかし、国としての機能が未だにに発達なまま国連が撤退してしまったため二度目の紛争が起きてしまったという事実は否めない。やはり、継続的に国連や多国籍軍の支援が必要ということであろう。二度目の危機から、再び立ち直ろうとしている中で、少しづつ政府機関などが、正統性を国民に理解してもらうために努力を重ねていることが感じ取れた。東ティモールでは石油が採掘でき、収入は1兆円、利子収入は400億円とも言われている中で、設備投資や就業支援などに用いることができればベトナムなどのようにアジアの中でも屈指の発展を遂げることができるのではないか。そのためには民間企業が現地で支社を持つことも政策としてあげられる。

  • 最後に

多国籍軍とPKO部隊どちらが、現地の人たちにとって信頼が置けるのかといった課題に対し、アメリカ軍のアフガンや、イラクでの一般人への攻撃の事例などから、国連主導のPKO部隊の方がより好ましいとされている。しかし、短期的な治安改善、また実際に紛争が発生した場合に素早く鎮圧をできるのは多国籍軍という事実もある。よって、PKOと多国籍軍を共存させつつ、実務範囲を明確にして分業のようなことを行なっていくべきである。また、国内の治安を取り戻すためには、広範な政治参加が必要という点において、反政府組織の構成員などとも和解をして、幅広い人たちが国作りに参加できる仕組みにしていくべきである。これは、将来的に紛争の火種を小さくするという大きい意義がある。また、平和構築のためには上記の通り民間の支援も必要である。日本は、JICAを立ち上げ、世界の様々な国で支援を行なっているが、それに加えて民間企業や、NPOなどもより活動しやすい土壌を作っていくことも大事だ。政府や公的機関が行えないようなことを補完、代替できるのが民間や非営利組織の長所でもある。よって、今後はより一層のNPOと民間企業の支援が、大きな意味を持ってくるであろう。また近年は、アフガンなどに加えてベネズエラが大きな危機的状況に陥っている。そこでアフガンや東ティモールの例にならって、国連やNPOがどのように国内の正統性を取り戻す手助けができるのかが重要である。

【参考文献】

東大作著「平和構築—アフガンと東ティモールの現場から」(2009)

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