【レポート】ソーシャルワーカー倫理綱領/ 社会に対する倫理責任「国際社会への働きかけ」

ソーシャルワーク倫理綱領/社会に対する倫理責任「国際社会に対する働きかけ」

今回は、社会に対する倫理責任「国際社会への働きかけ」についてに記事を執筆する。

  • 導入

福祉」といっても高齢者、児童、障害者の三分野がイメージされることが多いが、福祉の国際的な面はマイナー分野ではあるものの、グローバル化の中では考える必要がある重要な部分である。例えば、自然災害が起こった地域に在住外国人がいた場合、言語が壁となり日本国民が受けられる支援を受けられない可能性がある。また、受けられたとしても在住外国人には情報が届くのが遅れる可能性もある。実際に、日本の場合1995年の阪神大震災の際に在日外国人に対する情報提供が不十分であったことが明らかにされている(駒井、2007)。経済面においても、在住外国人が経済的な支援を要している場合、どこに相談したらいいのか、相談場所がわかっても対応してくれるのかなど、外国人特有のニーズや不安がある。これらの想定される問題は直接的に倫理綱領の項目につながっていないが、国際社会への働きかけを心がけることによって解決に近づく。以上のことから、人間の尊厳やプライバシーの尊重など重要な項目は他にも多く存在するものの、今後の日本を考えると重要視する必要があるという視点から「国際社会への働きかけ」を取り上げていく。

  • なぜ倫理綱領に含まれているのか

背景として主に「グローバル化」と「生活のニーズ」の二つが挙げられるのではないか。まずグローバル化について、近年「国際化」や「グローバル化」といった言葉が増えてきているが、それと同時に206万6445人もの在留外国人が日本国内に存在する(2013年時点)(長谷川、2016)。東京オリンピックを控える日本では、今後更にこの数字は大きくなっていくと予想される。その為、福祉に関する連携を、施設及び地域、県単位ではなく、国外にまで拡大していく必要がある。1980年代後半から、国際結婚や留学生も増えてきており、若年層においても、国のサポート政策が改善され、大学と地域や自治体が連携することによって留学体制が整い、在日の留学生が増えた(佐竹、2011)。また、労働面においても、研修や人文知識・技術や技能の資格で滞在する外国人も増加していることが明らかにされている(佐竹、2011)。こうした経緯を元に、1980年代から現代にかけて多くのニューカマー外国人が日本を訪れ、長期にわたって滞在していることがわかる。その為、異文化理解を果たすためにも、国同士の連携が必要とされてくる。福祉面において、他国への働きかけを重視することによって、異文化理解が促進され、人種差別や、性差別、障害者差別などの社会問題を解決に近づける可能性が高まる。この為「国際社会への働きかけ」がソーシャルワーカーの倫理綱領に含まれていると推察する。

二つ目の生活のニーズだが、「国際社会への働きかけ」が発展していくにあたって、単なる言語面での補助だけでなく、生活面でのニーズを読み取ることが必要となってくる(長谷川、2016)。その為、倫理綱領に含まれているのではないだろうか。生活のニーズといっても、通常在日外国人のニーズとして考えられるのは主に言語であろう。その為、日本国内の交通標識のほとんどには英訳が記されている。しかし、実際に日本で生活をしている外国人の視点からすると、想像以上に生活面におけるニーズが存在し、それに対する対応が整っていない部分が多い。言語は言うまでもないが、子育てや教育面におけるニーズが挙げられる。在日外国人と言う理由で受け入れを拒否され、必要な学習サポートが得られないことも考えられる。また、日常的な情報源も、在日外国人であることによって限られてくる。さらに、医療ニーズなど、緊急性が高い場面でのニーズなど、実際にそう言った場面に直面しないと想定し難い生活ニーズも多く存在する。これらの生活面におけるニーズを「国際社会への働きかけ」を通してどう解決にもっていくかは今後の課題となる。しかし、先ほども述べたように、国際社会への働きかけを通して文化や価値観を理解し合うとともに、多国籍の者同士の人間関係を構築していくことで福祉のみならず、国同士の連携及び関係が改善される可能性が高まる。よって、この項目は必要であり、倫理綱領に含まれていると考える。

以上のように、国際化が進んでいることや、通常想定することが難しい在日外国人特有の生活ニーズが多く存在するた為「国際社会」に対する意識を高める必要がある。「国際社会への働きかけ」を倫理綱領に記載することによって、ソーシャルワークの専門的な観点からも、国際社会を念頭に置いた上での取り組みを行うことが可能となる。

【レポート】アメリカのソーシャルワーカー:倫理綱領まとめ

【参考資料】

公益社団法人日本社会福祉士会「社会福祉士の倫理綱領」.https://www.jacsw.or.jp/01_csw/05_rinrikoryo/.2016/06/30.

法務省「国籍・地域別在留外国人数の推移」PDF.http://www.moj.go.jp/content/001127284.pdf.2016/06/29.

【参考文献】

駒井洋編著「国際化のなかの移民政策の課題」明石書店 (2007)

佐竹眞明編著「在日外国人と多文化共生」明石書店 (2011)

長谷川匡俊編著「社会福祉士相談援助演習」中央法規 (2016)

1 COMMENT

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です