この記事は、社会福祉士や社会福祉関係の学生に向けて記事を作りました!内容としてはソーシャルワークの中でも「エンパワメントアプローチ」「ストレングスモデル」についてです!是非、ご参考に!
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エンパワメント・アプローチ
・定義
Empowermentという単語を辞書で調べると「権限付与」や「自信を与えること」と訳されている。しかし、福祉の領域でのエンパワメントというのは、援助過程の中でクライアントに対して自己決定が行えるようにアプローチしていくこと。その為には、援助過程の中で常に対象者の持つ潜在能力を引き出すことを意識し、取り組んでいく必要がある。ソーシャルワークにおいて、もともとは黒人など社会的に抑圧されているマイノリティの支援において、そのパワーを増強させることを意味して用いられた。しかし、現在では高齢者や精神的・身体的障害者などに対応する範囲まで拡大している。
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特徴
Barbara B. Solomonの定義を読んだので、主な特徴をまとめていく。
- エンパワメント・アプローチは抑圧されている人々が置かれている政治的状況をも視野に入れた援助過程であること
- エンパワメント・アプローチが、人々のコミュニケーションの過程に焦点をあてて、意識覚醒の過程を促すことをしているということ
- クライエントが持っている潜在的能力を活用するという点が、ライフモデルと共通するということ
- クライエント自身の言葉で語る事実を踏まえてクライエントと話し合い、クライエントが持っている強みや長所を見つけそれを最大限評価すること
これらが特徴として挙げられる。②の中にある意識覚醒とは、抑圧状況に関する高められた気づきと知識基盤を発展させる過程である。エンパワメント・アプローチの意識覚醒の過程で、抑圧されている人々を解き放ち、自己評価や効力感を高めることが可能となる為に、意識覚醒はエンパワメント・アプローチの中では非常に重要になってくる。
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長所
実際の現場で利用者に対するエンパワメント・アプローチを行う時、利用者が自らの力でさまざまなことを決定し、その決定したことを自らの力で、あるいはさまざまな資源を活用しながら実行することができ、生活課題の解決を成し遂げたと感じられるところが長所だと考える。また、生活に対するコントロール感を実感できるような状況を作り出すことを指す。これらを達成する為に、利用者のストレングスに着目するとともに利用者のパートナーとして生活課題の解決を目指していこうとする姿勢が必要となる。
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限界
エンパワメント・アプローチをグループで達成する時に、その一つの組織の中、組織内で自己完結的に自由で対等なコミュニケーションのネットワークと組織化とを両立させる必要がある。ただ、この2つを両立させるのはなかなか難しいのではないだろうか。従って、組織の外にあるような領域と組織とをリンクさせる技術やネットワーク等が必要になると考える。
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ストレングスモデル
・定義
まず、このストレングスモデルのストレングスとは、利用者の長所、持ち味、特性、潜在的能力、利用者が活用している資源(家族、友人、近隣におけるソーシャル・サポートやそのネットワーク等)を指している。現場でこのストレングスモデルを活用する時には、上記の様々な活用資源の中でも家族が主な基盤になる事は間違いない。これらから、支援者は利用者個人のストレングスを見出すだけでなく、利用者の家族や利用者が営んでいる地域のストレングスも見出すことが求められる。
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特徴
ストレングスモデルの特徴は以下。
- 従来支配的であった病理アプローチと正反対の視点。
- クライエントの持つストレングスに着目し、それらを伸ばしていく為の一連の流れから成り立つ。
- エンパワメント・アプローチと深く関わりがあり、重要な準拠枠である。
これらがストレングスモデルの特徴であり、現在では教育分野や薬物乱用者、高齢者など様々な分野で活用されている。
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長所
ストレングスモデルはクライエントを生活の主体として焦点を置き、主体と環境の双方に働きかける生態学的ソーシャルワーク実践から発展してきたものである。主体としてクライエントを尊重する点は、クライエントの人権や人間としての尊厳を尊重する態度と不可欠。ただ、これらが日本の医療や福祉の現場で浸透してこなかった点は反省すべき事実である。この事実とは裏腹に、クライエントを主体として尊重する視点を強調し、高齢者虐待等の防止に繋がる要素を生み出したのはストレングスモデルの長所である。
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限界
文京大学の田嶋教授は「クライエント自身の「主観性」や「主体性」さらには「実存性」を強調するにもかかわらず、ソーシャルワーカーかが彼ら自身の「強さ」を規定してしまうところにある」(注①)と指摘している。現場を知る人ならではの意見だ。
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上記テーマの共通点と相違点
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共通点
- 1970年代後半から、アメリカのソーシャルワークにおいて発展してきた概念で、もともとは黒人など社会的に抑圧されているマイノリティの支援において、そのパワーを増強させる事を意味して用いられた点
- クライエントの潜在的能力を引き出し、伸ばしていく点
- 対人援助における基本だという点
- クライエントを主体として考える点
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相違点
- エンパワメントは社会的に差別を受ける可能性がある方を守ったり、自立させるプロセスであるのに対し、ストレングスモデルはプロセスの中で使用する資源である点
- ストレングスモデルはエンパワメント・アプローチを行う上での貴重な材料である点
- エンパワメントは将来をも含んだニーズを引き出していくが、ストレングスモデルはクライエントが持つ固有の能力、主に現在持っていることを重視する点
【注】
- ①田嶋英行『ソーシャルワーク実践モデル相互の関係性の検討』文京学院大学人間学部研究紀要12 32頁。http://www.u-bunkyo.ac.jp/center/library/image/hum2010_021-039.pdf#search=%27ストレングスモデル+欠点%27
【参考文献】
太田義弘『ソーシャルワーク実践と支援過程の展開』中央法規出版(1999)
太田義弘『ソーシャルワーク実践と支援科学』相川書房(2009年)
岩田正美・大橋謙策・白澤政和『ソーシャルワークの理論と方法Ⅱ』ミネルヴァ書房(2010)
北島英治『ソーシャルワーク実践の基礎理論』有斐閣 (2002)
田嶋英行『ソーシャルワーク実践モデル相互の関係性の検討』文京学院大学人間学部研究紀要12
http://www.u-bunkyo.ac.jp/center/library/image/hum2010_021-039.pdf#search=%27ストレングスモデル+欠点%27
野口定久『ソーシャルワーク事例研究の理論と実際』中央法規出版(2014)
山口真里『ソーシャルワークにおけるストレングスの特性』広島国際大学医療福祉学科
http://search.yahoo.co.jp/r/FOR=66qmoP9V3ijto9A3lbuDei.ZuxagKUSYJA768uKouumN
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