【レポート】奈良県香芝市の国民調査

【レポート】奈良県香芝市の国民調査

 奈良県香芝市の国民調査を調べ、市の地域福祉計画に対する市民意識の調査についての調査票を見つけることが出来た。実際に回答してみたところ、レイアウト面に着目すると、回答のしやすさが目立つ調査票となっていた。もともとアンケート調査は長くて、読む範囲も多く、面倒なものだというイメージが強かったが、今回回答したものは質問数が多かったものの、面倒だと言う印象は全くなかった。理由について述べるとともに、考えられる問題点やそれを改善するにあたっての提案も述べていく。

 まず、導入部分についてだが、今回選んだ調査票の場合、タイトルが明確であり市長の名前も明記されている。また、社会福祉法とも関連付けられているため、回答者の安心感や信頼を得ることができると考える。タイトル、感謝の言葉と協力の依頼、そして社会福祉法の条文が表紙に記されているため、問い合わせ先や回答の手順は二ページ目に書かれている。しかし、二ページ目になってしまうものの、アンケートの最後ではなく冒頭に問い合わせ先を書いておくことによって調査に対する信頼度が増し、より質の良い回答が得られると考えられる。また、問い合わせ先も住所とメールアドレスだけでなく、電話番号及びファックスまで記載されているのも評価できる点だ。また、「ご回答にあたって」の部分で、本人が回答することを依頼しているものの、「(ご本人が記入できない場合は)」という選択肢の提示もされている。これはおそらく、身体障害者やその他の理由で記入する動作自体が困難な方への配慮であり、この選択肢を明記することによって回答率が上がると考えられる。「本人がお答えください」のみの場合、記入の動作ができないことを理由に回答を諦める人もいると考えられるからである。表紙及び冒頭部分の改善点としては、固すぎる雰囲気が挙げられる。この調査の対象は16歳以上であり、高校一年生から回答を依頼されているということになる。高校一年生がこのアンケートを受け取った場合、見た目からして改まりすぎている上に、表紙に条文が記されていると、「難しそう」という印象を受け、回答を躊躇する可能性が高くなるだろう。この問題点の改善案としては、表紙に条文ではなく、問い合わせ先を載せ、2ページ目に条文を記載することが考えられる。また、市のキャラクターなどを載せることによっても、アンケート用紙自体の雰囲気を和らげ、親しみやすいものになるのではないか。

 次に、レイアウトについて考えていきたい。全体的なレイアウトは高く評価できるものだと思う。各問いに、丸をする数がわかりやすく書かれており、問題の文章もわかりやすく、長すぎず漢字の引用もバランスが取れているのが見て取れる。また、以下のように4部構成となっており、部ごとに何に関しての質問が設けられているのかがわかるようにサブタイトルが付けられている点も評価できる;

1〜7問目「あなたご自身に関して」

8〜19問目「地域生活及び福祉課題について」

20〜25問目「福祉サービスについて」

26問目以降「福祉のまちづくりに関して」

 第一部以外では分岐が用いられているが、その分岐も識別しやすくなっている。分岐の質問には二重の下線が引かれており、一目見るだけで質問の種類が違う・注意しなければいけないということが分かるようになっている。

 これらの一方で、所々において「高齢者」のことを考えた際に、問題となりうる点も存在する。まず、質問の配置について、選択肢が互いに少し近すぎるように感じる。そのため、高齢者にとっては見にくい可能性がある。また、格付け法を用いた同一質問群が第四部に使われているが、この表も高齢者にとっては回答しづらい可能性がある。高齢者の場合そもそもこういった表を見たことがない場合があるため、どこにどう丸をつけていいかに戸惑う可能性がある。改善案としては、はじめに一つ記入例を設けることが考えられる。例として「こういう場合はここに丸を付ける」というように回答法がわかると、回答率も上がり、表を見ただけでわからないことを理由に回答を諦める高齢者も減るのではないか。一方で、この同一質問群のレイアウトとしては1から5までの数字の間が区切られているため、回答がどちらの数字かわからないということが少しでも防げるような構成となっている。本調査票はインターネットからPDFファイルとして入手したため、実際の大きさはわからないが、印刷したものと同じA4の普通紙サイズであれば、回答するにあたってどの世代にもふさわしい大きさではないかと思う。しかし、印刷面に関しては、今回のように実物も両面印刷なのであれば、紙の種類を変えるなどして裏面から透けて見えることを予め防ぐ必要がある。

 回答のしやすさ及び内容については、改善できる点が多いと考える。まず、専門的な表現の仕方について考えていきたい。以前も述べたが、この調査は対象者として高校一年生も含まれている。しかし、福祉を進路として考えていない高校生が、「地域福祉計画」や「福祉課題」について考えたことがあり、かつ、すぐに回答できるほどの知識があるだろうか。場合によっては、福祉にあまり馴染みのない高校生が回答を躊躇するきっかけとなりうるであろう。しかし、その一方で高校生に合わせて言語表現を変えるとなると、20〜40代の層にとっては読みづらく、答えづらいものになる可能性が出てくる。さらに、内容に関しても回答しづらい、もしくは対象としている年代のズレを感じるものがいくつか存在する。例えば、第一部は比較的どの年齢層にも沿った質問内容となっているが、18問目の「住民相互の自主的な支え合い、助け合いの必要性について」の部分や、20問目の「もしあなたの家族が介護を必要とする状態になった場合」など、どの世代でも回答は可能ではあるものの、特に後者のような質問は親が要介護になりうる世代、つまり現在の40代−50代を対象としている質問のように感じる。21問目に関しても、「保育サービス、高齢者や障害者への福祉サービス」に関する情報を高校生が必要としたことがある可能性もゼロではないが、保育・高齢者という順番で並んでいる時点で高校生や20代よりも中年世代に向けたもののように見える。実際に自ら回答して、回答できたものの「自分が答えるべき質問なのか」少し引っかかるものが多かった。このような年齢対象が回答者側からしてずれているように感じることの利点としては、「自分と同じ世代でもこれらを必要としている人がいる」という意識が生まれるということが挙げられる。また、高校生に対して専門性が高すぎるのではないかという点でも、この調査をきっかけに、高校生でも「福祉」というものを認識し、日頃から意識するきっかけとなる為、ある程度表現が考慮されていれば利点として捉えることが出来る。しかし、全体を見るとやはり、最善な改善案として、年齢層別に質問紙を分けることが考えられる。16歳以上全ての年代の香芝市民に対して行っているため、少なくとも2つから3つの世代に分けるだけでも、なお詳しい調査ができるとともに、「自分が回答する質問ではない」「難しそう」と言った理由で回答を諦める人も減り、よって回答率も上がるのではないかと考える。

 まとめとして、今回分析した調査票はレイアウトや見易さ、読み易さに関しては評価されるべき点が多かったが、16歳の視点から見ると内容が高度すぎたりアンケート用紙の雰囲気が重すぎたりする点や、30代〜40代に向けた内容と思われるものが多い点、そして、高齢者の視点からするとやや字が小さかったり解答欄が狭かったり、回答方法が難しい表が含まれていたりと、年齢に応じた配慮が欠けていることが分かった。その為、これら全てを改善するにあたって、年齢層別にレイアウトや文字の大きさ、使用する専門用語を変更したものを作成することが考えられる。「個人個人のニーズ」に寄り添えてこその「福祉」であるため、調査票も、少なくとも3世代ほどに対象者年齢を分けて作成することによって、より質の良い回答及び高い回答率が得られるのではないか。

【参考資料】

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