【レポート】保険医療福祉計画

保険医療福祉計画の重要性

  • 福祉計画について

福祉計画とは、「対象者や対象者と取り巻く状況の分析に基づき、計画期間を明らかにした上で今後の施策について基本的考え方、具体的施策、タイムスケジュール、実施体制などを示した文書」(注①)である。一概に福祉計画といっても様々な方向に枝分かれしており、主には「高齢者分野」「障害分野」「児童分野」「地域福祉分野」に分ける事ができる。従って、作成主体も異なっており、「政府や地方公共団体、社会福祉協議会などの組織、個々の事業者、ケアマネージャーなどの職員までさまざまな作成主体が存在する」(注②)。今回、取り上げる

  • 保険医療福祉計画とは

高齢者や障害者、子どもなど、全ての方が対象となり保険医療福祉を推進させていくもの。通常、福祉計画の中には取り上げられておらず、関連分野として端っこの方に文献等に出てくる事が多い。しかし、保険医療福祉計画は近年非常に重要な役割を担っていると感じた為、今回取り上げることを決めた。

保険医療福祉が策定された背景として、日本医療全体の底上げを期待された面がある。日本では急速な少子高齢化が進んでいる。我が国の人口動態変遷のデータをみると、保険医療福祉計画の重要性が増してきているのは容易に想像出来る。後期高齢者の割合は1980年で3.1%だったが、2010年では11.1%と1割を超えた。高齢者の割合が増える一方、0~14歳の割合は1960年時点では30.2%だったが、2000年には14.6%、2010年には13.2%まで低下し、2014年には12.8%と過去最低を記録している。介護保険事業計画を策定する際、この状況では各市町村が困難を極める。介護保険料は各地域の施設数によって決まる為、地方かつ高齢者が多い市町村は厳しい状態にあるはず。同時に、各地域に合わせた医療分野の体制を整えておくことも必要になる。グローバル化が進み、多様な人材が日本を訪れる時代となり、直近ではコロナウイルスが我々を恐怖に陥れようとしている。保険医療を取り巻く環境が大きく変化してきている為、各地域が策定する保健医療福計画の重要性は増している。

まず、本題に入る前に日本全体の医療の特徴ついて振り返る。①出来高払い中心であること ②患者が自分の望む医療機関の診察を自由に受けられる(フリーアクセス制度)③国民皆保険(皆が保険制度に加入し、重い負担なしで診断・治療が受けられること)などがあげられる。これらが今の日本の医療を支える大きな柱となっているのだが 、①関しては、利益を生み出す為に、無駄な医療や投薬等を引き起こしやすい。②に関しては、医療機関が役割分担できない・医療従事者の疲労を招きやすい。③に関しては、少子高齢化の影響を大きく受けるといったデメリットの要素も含んでいる。②に関しては、最近日本ではフリーアクセスの制限が話題となっている。以上が、日本医療制度の主な特徴。

福祉計画を策定していく上で、どの福祉計画分野であっても各地域の現状把握を行い、問題点を見つけ出し、解決していかなければならない。これは保険医療福祉政策も同じである。各地域が持つ課題を見付け出し、解決に向けて取り組んでいかなければならない。過去に行われた、各地域の保健福祉政策の実例を挙げていく。

北海道

高齢者や障害者、子供、住民全員に対して、最適なサービスの種類や程度を判断し、適切な時期に総合的にサービスを提供する体制を確立する事が北海道では課題となっていた。これは、広大な土地を持つ北海道特有の課題で、どこに住んでいても適切なサービスを受けられる事が急務だった。ここから、北海道では保険医療福祉計画を策定し、平成10年から平成19年の10年間で、5年を目途に計画の進捗状況を加味して、取り組みが行われてきた。

大阪府

大阪は交通網が発達しており、東京に次いで都市機能が優れている。その為、専門性の高い病院や施設が豊富に展開されてきた。しかし、地域保健体制と医療体制の方向性が明確ではなかったこと、医療の専門機能が偏っていた事が問題となっていた。これらを解決する為に、大阪府は10年以上かけてこの問題解決に取り組んできた。

千葉県

千葉県といえば、ディズニーランドということで若者のイメージがあると思うが、高齢化が進んできたことで対策に追われていた。特に農村部において、全員が保険医療を受けられるようにケアの充実に力を入れて取り組んできた。千葉県が本格的な少子高齢化に向け、サービスの質の向上と民間サービスの導入に力を入れてきたのは平成12年のことである。

上記の様に、保険医療福祉計画は各地域によって取り組むべき内容が異なる為に、同じ解決策を用いることは難しい。しかし、住民の生死に関わる内容となる為に重要な役割を担っている福祉計画の一つなのである。

【注】

  • ①杉田啓三『概説 福祉行政財と福祉計画』ミネルヴァ書房2012年出版 120頁
  • ②杉田啓三『概説 福祉行政財と福祉計画』ミネルヴァ書房2012年出版 118頁

【参考文献】

島津淳『福祉行政と福祉計画』久美株式会社(2011)

田中英弥『日本の福祉行政財と福祉計画』第一法株式会社 (2011)

杉岡直人『福祉行政財と福祉計画』株式会社みらい (2013)

杉田啓三『概説 福祉行政財と福祉計画』ミネルヴァ書房 (2012)

地域医学研究委員会報告『我が国の保険医療福祉計画の現状と問題点』(2000)

【Web参考】

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/17htm/1761z.html (20196/1)

(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/54/3/54_156/_pdf (201910/24)

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