【レポート】大麻合法化

大麻合法化について

アメリカのカリフォルニア州やカナダでの大麻合法化により、世界中で大麻合法化や健康被害についての見識に変化が生じている。そこで、今回は日本における大麻の合法化についての意義や利点について考察していく。

  • 人と大麻の関わりの歴史

大麻はどういったものなのだろうか。まずは、歴史から。

 大麻とは古くは紀元前から日本や中国、アメリカ大陸など広くで使用されてきた。特に、日本においては大麻草の生息のしやすさから、古くから使用されており天皇家も儀式の際に大麻草を使用してきたほどで、江戸時代には薬として使用された記述が残っている。戦前、大麻は日本の伝統文化として認められ合法化されていた。しかし、戦後になり、世界中で大麻使用に関して悪影響が指摘され、非合法となった。また、アメリカ大陸でも大麻は古くから用いられてきた。ネイティブアメリカンたちは、大麻を医薬品や嗜好品という位置付けで使用していたという記録も残っており、世界三大大麻生産国として知られるメキシコ・インカ帝国でも、幅広く使用されていた。彼らは日本の天皇家同様、大麻を聖なるものとして扱い神事の際に用いていた。ヨーロッパでも、中国経由で大麻が輸入され主に医薬品として扱われていた。西洋医学の発展に伴い、病気に対する薬としても使われていた。実際に、医師による大麻に関する論文が書かれていたほどだ。しかし、20世紀初め頃からアメリカにおいて大麻の危険性が指摘され、確証がないまま法制化されるようになった。第二次世界大戦を挟み、1960年代に最高裁において大麻が違法薬物であるという判決が下った。日本では、1948年に大麻取締法ができており、15年ほど遅れての判決であった。しかし、アメリカでは70~80年代にかけて、大麻の医療における効果と健康被害の無さから医療用大麻の合法化を進める州も現れた。そして、2018年にカリフォルニア州において全域で合法化され、10月にはカナダでも大麻が合法化される流れとなった。

  • 大麻と覚せい剤の違い

次に、覚せい剤との違いについて。

現在でも、一般的に大麻と覚せい剤は「同じ」という認識が強いのではないでしょうか。しかし、この二つは全く違うもの。覚せい剤は、アンフェタミン類の精神刺激薬であり強い中毒性と依存性がある。しかし、大麻とは乾燥させた大麻を高温で熱することにより、カンナビノイドがテトラカンナビノイド(THC)という物質に代わり、その成分が体内に入ることで、軽い酩酊状態と精神作用を引き起こすもの。中毒性、依存性はコーヒーよりも少ないとされる

  • 大麻使用法と作用について

オーソドックスな使用方法は、大麻を高温で熱し吸引、また食べる(大麻の成分を、クッキーなどに染みこませたものなど。これは大麻が高温で熱しないと精神作用を引き起こす物質に変化しないことに起因する)ことなどが主流。主な作用は、口角が上がり笑う回数が増える食欲が増進する、または喉が乾くといった事があげられる。ただ、これは一時的なもので、個人差はあるが三時間から七時間で効果が消滅するのが一般的。この様な作用の後に、中毒症状が出ることはない。一般的に大麻を吸うことで、幻覚症状や暴力衝動が起こるとされているが、そのような作用もない。この作用は覚せい剤によるものである。

  • なぜ合法化が必要なのか

まず、大麻を合法化することにより税収が見込める点に大きなメリットがある。カリフォリニア州では、2018年1月に大麻が合法化されたことは先にも述べた通り。そして、カリフォルニア州では半年間の大麻収益だけで約80億円もの税収があったという。これは、事前予想を下回るものであったが、この税収を使い、教育振興費や社会保障費に使用することが可能となり、社会全体の利益に繋がる可能性がある。また、州が合法化した後に特定の業者販売を許可することで、反社会組織の大麻の密輸、密売が減り、結果的に犯罪率が下がるという面もある。例えばウルグアイでは、ムヒカ前大統領が大麻の密売による麻薬組織の資金源の根絶と、それによる犯罪率の低下を目指して大麻合法化を行った。この政策により、彼はノーベル平和賞候補にも上がっている。今後、世界規模で大麻の市場を捉えると、2021年までに約四兆円規模にまで達するという。これらのことから、大麻合法化による税収犯罪率低下といった二つの利点を見込むことができる。

  • 大麻の医療目的での使用について

最後は、大麻の医療用の使用について。

現在、大麻を使用することによって効果のある病気や症状は、がん、うつ病、拒食症、関節症、パーキンソン病、不眠症、高血圧、エイズ、緑内障、PTSDなど多岐にわたる。また、鎮痛剤としても使用されており、けが人だけでなく、格闘家やスポーツ選手が試合後に使用している。医療用の使用となると副作用が気になるが、この副作用はほとんどない。精神的な影響を危惧する論述も多々あるが、大麻を使用することでの長期にわたる精神面での負の影響は実際には存在しない。さらに、大麻はモルヒネなどの薬ほど強力というわけではないが、副作用がほとんどないために人体への負担も少ない。従って、現在ではアメリカ、ヨーロッパ、中南米などをはじめとした国々では、嗜好品以外で医療目的でも使用されている。実際、これらの症状以外でもパーキンソン病の患者が医療用大麻を使用することで、痙攣が収まり日常生活が普段通り行えるようになった例もある。

現在、注目を浴びているのはうつ病患者に対する大麻の使用である。先述した大麻における効果の中に、口角が上がり笑いが増えるというものがあった。この効果を応用したのが、大麻使用に関する抗うつ薬である。実際に、大麻を使うことで幸福度や自己肯定感が向上するといった効果が確認された。このように、大麻は様々な病気や症状に効く万能薬でもある。

  • 最後に

上記から、単に嗜好品として楽しむ事だけが、大麻合法化の目的ではなく、合法化によって救える命があることなども私たちは認識する必要がある。つまり、多角的に大麻合法化について私たちは考える必要がある。大麻合法化や厳罰化問題に関して、感情論になっている場面を散見するが、様々な側面から捉えることが非常に重要である。

これらをベースとして大麻合法化について議論し、よりリベラルな社会を作っていくのはどうだろうか。

【Web参照】

https://www.investors.com/news/marijuana-stocks-california-cannabis-tax-revenue-q2/

https://coco-sinsere.com/?p=2582

https://forbesjapan.com/articles/detail/22480

【参考文献】

久保象『コーヒーショップで大麻を一服 幸せのハーブを巡る四つの旅』 データハウス(2007)

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