【レポート】差別問題の解決策

差別問題

  • 導入

現代社会をとりまく大きな問題として、差別問題がある。差別が起こる要因として、他文化他民族の情報が十分に伝達できていない事が挙げられる。人はあるものに対して知識がないとき、そのものに対して「イメージ」や「先入観」をもつ。そして、その一個人や、一つのものに対するイメージが、集団に対するものへと変わったとき、「ステレオタイプ」となる。また、ステレオタイプに感情的な要素が加わった際「偏見」となり、そのステレオタイプに基づき行動をとったとき「差別」ということになる。このことから、差別の原点は「情報伝達の不正確さ」にある可能性が高い。ある人に対する情報が、間違った形で他者へと伝わったり、十分な情報量が届かなかったりした結果、差別をする側の人間は足りない部分を「イメージ」や「先入観」で埋め、結果として偏見や差別へと走ってしまう。この大きな社会問題に対してどういった対策が取れるか、解決策及び対応策について考察していく。

  • 差別の解決策(教育)

まずは、教育面から。授業の進め方授業内容の改革について。例としては、ジェーン・エリオットの “Blue Eyes, Brown Eyes” のような授業の進め方を取り上げたい。

https://youtu.be/1mcCLm_LwpE

ジェーン・エリオットの“Blue Eyes, Brown Eyes”のYOUTUBEです。約53分で、アメリカ公共放送のものですので英語のみでございます。

file:///Users/mizoguchitakuya/Downloads/15-30.pdf

こちらのURLはジェーン・エリオットの“Blue Eyes, Brown Eyes”についての論文です。第1章で授業について日本語でまとめられておりますので、英語が苦手な方はこちらを参考に。

本題に戻ります。小学校では「道徳の授業」が取り入れられているが、差別を根本から減らすほどの効果はもたらしていないのではないだろうか。実際のところ、多くの人々が「現代も差別意識はなくなっていない」と認めている(今野、1989)。そのような社会の中、根本から差別を減らしていくには、やはり学校教育等の教育機関での改変が求められてくる。青年期は、自我が形成される重要な時期である上、自分以外の人間の存在をより意識し始める時期である(塩見, 2000)。その為、特に学校教育での同和教育は、更に力を注ぐ必要があると考える(今野,1989)。授業で人権について学ぶ際に、 blue eyes brown eyes の実験のように、児童を積極的に参加させる方針で進める他、「違いを認める」ことを中心に教育していく必要が有る。これは、差別から解放されるために差別を否定することが正しいのかという考えがあるからである(菅、1985)。しかし、実際は、世の中が平等になれば差別が無くなるということではない。例えば、女性が男性と同じになれば差別が無くなるかというとそうではなく、女性は女性として社会で認められ、女性として人権を有し、自由を有し、初めて差別から解放されたと言える(菅,1985)。その為、教育面においても、人を同等に扱うことや、人間はみんな平等という考えを教えるのではなく、blue eyes brown eyes のように、「違って当たり前」という思考に触れさせることが効果的ではないか。

  • 差別の解決策(企業)

続いて、会社や企業での取り組みについて。 IAT test のように、人は知らず知らず脳内で固定観念や先入観を抱いているといえる。日本社会で日常的に他民族や他文化、他人種の人と触れ合う機会が足りていないからではないか。その点、企業や政治におけるクオータ制が効果的だと考える。男女比平等を目指すだけでなく、他人種を含むクオータ制などから、人種差別は軽減されるのではないだろうか。また、知的障害者や発達障害者なども、クオータ制によって社会から排除されることが少なくなると可能性が高い。しかし、クオータ制の積極的な導入は、優秀な人材に対する「逆差別」を招く可能性がある(田中、2014)。が、差別問題が深刻化していく中、企業や政治面では、まず差別解消の為にクオータ制を強化し、女性差別及び障害者差別、更には人種差別を改善し、その次のステップとして別の方法で逆差別への対応策を模索するべきだ。実際、どれほど逆差別に合うかなどの統計は、日本がクオータ制を積極的に発達させるまで予測が困難である。これまで差別克復の為の姿勢をとってきたにもかかわらず差別が存在する要因として、差別と平等の概念が社会の中で混乱しているからだと言える(遠藤、2011)。その為、教育機関同様、まずはクオータ制を通して「他者の存在」を認めること、つまり互いのアイデンティティを尊重できる社会を造り上げることが適切な処置ではないか。大企業らがこれらの取り組みを行うことにより社会全体に人権尊重のメッセージを訴えかけることができるはずだ。

  • 差別の解決策(親世代)

最後に、一般市民、特に親世代を対象とする取り組みの必要性について。差別や偏見は周囲からの影響を元とするものが多い分、周囲の影響によって改善される可能性が高いこの影響力をうまく利用すれば、親世代の中での偏見やステレオタイプをマイナスからプラスなものへ変えることができるのではないか。社会教育として、PTA 家庭教育学級、婦人学級、そして公民館講座などを行い、人権問題について学ぶ場が設けられている(今野、1989)。思春期の自我形成時期の児童の考えや思考を変えることはまだしも、伝統や慣習にこだわる大人世代の観念を変えることは難しい。しかし、子供は親の影響を大いに受ける傾向にあるため、親世代の差別に対する意識を変えることによって社会的に大きな変化をもたらすことが出来る。

国際結婚をする人が増え、「ダブル」、いわゆる混血児が増えていく中、教育機関での懇親会などで他人種の親が混じることも珍しく無くなってきた。その中でいかに他文化に属する者を受け入れられるかによって、子ども同士がどう接していくかにも影響していく。日本に限らず、混血児は少数派として他国でも増えてきている。例を挙げると、英国では2001年から2020年にかけて混血児の人数が倍増すると言われている(Alagiah, 2011)。混血の人が増え続けていることにより、英国では混血児でいることで不利を感じることはほとんどないと英国に住む人はいう(Alagiah, 2011)。日本においても、今よりも更に混血児が「当たり前」になれば、その児童に対する差別及びその外国人の親に対する排除などの行為も減る可能性も頭に入れておきたい。

  • まとめ

以上のように、差別を解消する鍵として、平等を求めることや差別自体を否定することは差別解消には繋がらないないと考察できる。個々人の思い描く「一般人」、そして「一般ではない人」、の様々なカテゴリーに属する人々が存在して「当たり前」という社会を築き上げることが一番に求められている。人々がいかに同等に扱われるのかではなく、違いを認めた上でいかに同等の権利と自由が与えられるかが差別解消への鍵となる。これを達成するにあたって、学校教育政治及び企業レベルの改革、そして社会教育を通して、人々のもつ「イメージ」を根本から変えることが最も有効な手段。国際化していく社会の中で、また情報社会という影響力が試される社会の中で、いかにその影響力を利用できるかによって今後の差別問題の行方が見えてくる。

【参考文献】

遠藤昇三 『差別・貧困の克服のための試み』島大法学第5巻第3号抜刷(2011)〔研究ノート〕( http://www.lib.shimane-­‐u.ac.jp/kiyo/a001/005503/003.pdf 6.10)

今野敏彦『差別を見る』明石書店(1989)

菅孝行『いまなぜ差別を問うのか』明石書店 (1985)

倉本智明 『だれか、ふつうを教えてくれ!』株式会社イースト・プレス(2012)

塩見邦雄『社会性の心理学』株式会社ナカニシヤ出版(2000)

田中知美『クオータ制は、男性への「逆差別」になるのか?世界中の調査から見えてきた解決策』日経ビジネスONLINE (2014)

【英語文献】

Alagiah, George. “Viewpoint: What it’s like to be mixed-­‐race in Britain” Mixed BritanniaBBC(http://www.bbc.com/news/magazine-­‐150196726.10) (2011)

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