【レポート】吃音症

吃音症とは

今回は映画「英国王のスピーチ」でも話題になった吃音症について。

  • 吃音症とは

吃音症とは、特定の単語や文字を発音する際にうまく発音できない又は、どもってしまうといった言語障害の一種である。二歳から五歳までの人口の約5%に発症する。発症してから三年で男子は62%が自然回復、女子は79%が自然回復するとされている。また成人になっても吃音が治らないケースは文化や宗教に関係なく世界中のどこの地域においても約1%の割合で存在している。(菊池)「歴史的事実を踏まえた吃音の正しい理解と支援」小児耳鼻咽喉科35巻3号2014 P232~236

  • WHO による吃音の定義

WHOによる吃音症に対する定義に関しては、国際的な疾病分類ICD-10において「精神及び行動の障害」という分類の中の「小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害」という下位分類のグループに「吃音」が入っている。この分類を元に日本の法律では2005年に「発達障害者支援法」の対象となっている。(近藤)『吃音—伝えられないもどかしさー』新潮社 2019 p184 5~6

  • 原因は? 

原因については未だ不透明な部分が多く、はっきりとしたことは分かっていない。ただ、1991年のオーストラリアの双子を使った研究によると遺伝子(体質)が7割、それ以外の要因が三割であることが分かった。(Andrews G, Morris-Yates A, Howie P, et al)「Genetic factors in stuttering confirmed.」 Arch Gen Psychiatry 1991 Nov; 48(11) : 1034-1035

さらに、2011年にNew England Journal of Medicineにて脳の白質を形成するための細胞内のリソームを形成する遺伝子の異常が発見された。(Blumgart E, Tran Y, Craing)「A. Social anxiety disorder in adults who shutter.」 Depress Anxiety 2010 Jul; 27(7): 687-692

このような事例から、今後は遺伝子学や生物学などを利用した研究が盛んになる可能性が大きい。

  • 吃音症と社会不安障害(SAD)との関連について

成人の吃音症患者の内、約50%が、SADに相当するなど吃音とSADとの関連は強いことが伺える。また海外では、Blumgartらが200名の成人の吃音症患者を調査すると、約40%がSADを併発しており、健常者の比べて四倍も高い数値となった。(菊池・梅崎・澤津橋・山口・安達・佐藤伸・中川)「吃音症による社交不安障害(SAD)の重症度尺度の(LSAS-J)の検討」耳鼻と咽喉63巻 2号63:41~46, 2017

このような結果から、吃音症と社会不安障害との関連は強く、吃音症が理由で他の精神障害を併発してしまうという副次的な症状が出ることが、大きな問題点である。

  • 吃音症患者の就労支援について

吃音症患者に対しての就労支援が、整っているのかといえば、そうとは言えない現状だ。吃音を理由に自殺した人の例がある通り、社会の中で、吃音を理由に職場で不当な扱いをされてる人がいるのが現実である。このような事例から、吃音症患者に対しての支援が急務になってくる。吃音症という障害は、発達障害に分類されている。しかし、一概に発達障害といっても、自閉症やアスペルガー症候群から注意欠陥多動性障害、学習障害などかなり幅広い障害を含んでいるという点に注意が必要である。そして、発達障害者支援法では原因不明の障害としてICD-10のF80-98という分類に区分されている。一応、区分上は発達障害ということになっているが、実際の所は他の障害とは違うところが多く、一括りにはできない。このような事実から、吃音症に特化した支援の体制を整えることが急務である。吃音症という障害に配慮した仕事を行えるようなサポートを、当事者団体や行政が協力して企業側に訴えていく事が求められる。ただ、吃音症患者によっては、自身が吃音症という事を公表したくないと感じている人もいるため、吃音症の当事者全員にいする支援というよりも、希望する当事者に支援に限定しなくてはいけない側面もある。つまり、吃音症という障害に特化した網羅的な支援と希望する当時者に対する支援が必要なのではないだろうか。

【参考文献】

近藤雄生『吃音—伝えられないもどかしさー』新潮社 (2019)

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