【レポート】ベトナムの大学教育と失業率

ベトナムの大学教育と失業率

今回はベトナムの大学教育と失業率について。ベトナムにおける大学教育の問題点と、ベトナム国内における失業率との関連について調べた。

  • ベトナムの失業率

まず、ベトナムにおける失業率について。近年、ベトナムは目覚しい経済成長を遂げており、毎年約7%近い経済成長率を上げている。日系企業も多くベトナムに進出している。しかし、ベトナム国内では若年層の失業率が上昇している。20~24歳における失業率は7.6%であり、都心部における失業者は15~24歳で全体の50.5%までに膨れ上がっている。この要因として考えられるのが、近年成長率のゆるやかな減少や、大卒、大学院卒の求人の需要の低迷だ。

  • ベトナムの大学教育の問題

大学内のキャリアサポートが十分に行われていないことも理由の一つであるが、大学内の教育にも大きな原因がある。現在、ベトナムの大学進学率は28.26%と一時期に比べ倍の進学率ではあるが、低率であることは否めない。この問題は、大学内の教育水準が低いことが大きな要因になっている。大学に入学したとしても、座学中心で専門的なことを学ぶ機会が少ないことに加え、社会に出たとしても専攻領域を仕事に活かせず、全く関係のない仕事につかざるを得ない。ベトナム労働傷病兵社会省の発表によると、卒業後の約60%が希望する職につけていない。中には、バイクタクシーなどの運転手をして生計を立てる者もいる。このような状況から、大学を卒業したとしても希望の職につけないケースが多く、仕事を辞める若者が増えるのだ。ベトナム国内において、前職よりも給与のいい仕事に就くため、転職をするケースも多いが、積極的に転職者を受け入れる企業が少ないのが現状だ。

また、ベトナムでは管理職に就くためには学士が必要なケースがほとんど。しかし、ソ連時代の大学システムを強く踏襲しているため、ほとんどが単科大学となっており一大学あたりの卒業生は一学科あたり200人と少人数になっている。その為、卒業生の絶対数が少ない現実にある。その中で学士を取った学生となると、さらに数が減り、優秀な人材を企業が雇う機会が減ってしまう。また、数少ない卒業生の中から、大学で学んだ専門分野を活かして仕事をする人間はかなり少ないであろう。

現在、ベトナムでは国立大学が圧倒的な力を持っているため、私立大学との格差も問題となっている。新卒者を対象にした企業の求人も「ハノイ大学」「ホーチミン大学」など、一部の名門大学に集中するケースが多い。企業にとって、優秀な人材の確保が難しく、学生にとっては一部の大学しか一流企業が向き合ってくれない為就職がハード。その為、一部の国立大学だけでなく、私立大学のレベル底上げが必要不可欠である。現在、ベトナム政府と在ベトナム日本総領事館とが協力して「日越大学」という名前の大学を作り、日本の大学への留学、日系企業のインターンを行いやすくする方針を掲げているが、一番の目的は、日本などから教員を派遣して、教員不足を補った上で総合大学として学士や博士を取りやすくすることだ。

この取り組みは、将来的に一部の大学だけに求人が集中することを変え、多くの優秀な人事を輩出していける転換になるのではないだろうか。

しかし課題は残る。社会主義時代の教育が根強く残っているために、大学内において、ホーチミン思想の教育や軍事訓練などの独自のカリキュラムを組んでいることだ。その為、海外の大学との留学協定を結びづらく、単位交換もできないことが多い。従って、経済的に余裕があり、英語が話せるベトナム人の学生は、アメリカの大学に進学するケースが増えている。

Global Noteというサイトの発表によると、1993年から2017年におけるアメリカの大学への留学者数は5位となっている。この学生たちは、卒業後も外国で就職するケースが多い。となると、南米諸国のように頭脳流出が盛んとなり、国力を下げてしまう恐れがある。

  • 課題への対応

現状に対応するためには、国際基督教大学(ICU)が行なっているようなリベラルアーツ教育を実施が一つの解決手段になりうる。ICUのリベラルアーツ教育を例にとって説明すると、二年次の終わりに文理系を問わず、自身の興味のある分野の科目を30科目の中から専攻できるシステムだ。複数の科目を専攻したいという学生の為には、メジャー制の他、ダブルメジャー制、メジャーマイナー制といった多様な選択肢も用意している。この教育方針を実施することで、自分の将来や興味のある分野を見極めた上で、専攻を決めることができるので無駄なく、効率的に専門分野の知識を習得することできる

また、全ての学生が自身の希望する科目を専攻できるように、充実したサポート制度を設けることも必要だ。一般的に二年次の終わりから専攻科目を決めるということで専門性が深まらないと言われているが、大学院を創設することで、大学卒業後も自分の専攻科目を学べる為、十分に専門性が深めることができる。他学科科目も履修できる仕組みにすることで、専攻科目以外の勉強を行い、一般教養を養えることも可能となる。

  • 最後に

海外との競争力を強化する為に、英語教育をより充実させる必要がある。将来的に、ほとんどの授業を英語で行えるようにすることで、アカデミックな英語力を養い、卒業後も外国人と対等に渡り合っていけるような教育をするべきであろう。

その為に、旧来の教育方針を転換すること。現在、ベトナムでは教員不足が目立っていることから、海外から専門の教授を招聘し授業を行う仕組みを作ることで解決できるのではないだろうか。

【参考文献】

黒田学 『アジア・日本のインクルーシブ教育と福祉の課題』クリエイツかもがわ(2017)

web参考
https://www.globalnote.jp/post-2864.html?cat_no=124
Web参考

https://www.viet-jo.com/news/social/170327113752.html

https://japan.zdnet.com/article/35051276/

https://japan.zdnet.com/article/35051276/2/

https://japan.zdnet.com/article/35051276/3/

https://www.viet-jo.com/news/statistics/181004191151.html

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